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墨を磨っていくと小さくなって持ちづらくなってしまいます。そんな時にはこんな商品もございますので是非ご利用下さい

昭和の墨

 平成が終わり令和の時代に移っていく中で、古き良き品を令和の時代にも伝えていきたい、そんな思いで昭和の時代に製造した墨を取り揃えてみました。30年以上寝かせた墨の色をご堪能下さい 

​(商品の数には限りがございますので、品切れの際はご容赦ください)

煤についての説明

油煙と松煙について

油 煙

 油煙の種類には大まかに「植物性油煙」と「鉱物性油煙」の二種類に分けられます。

「植物性油煙」は菜種油煙・胡麻油煙・桐油煙などがあり、粒子が細かいので細い線を書いてもかすれずらいので仮名作品向きと言われています。鉱物性油煙は主に重油などから採煙されたもので、菜種油煙に比べると粒子が荒く色も純黒なので漢字作品向きがほとんどです。また、学童向けの墨には「カーボンブラック」を使用しています。カーボンブラックは粒子が荒いので仮名を書くのにはあまり向いていません。

 植物性油煙の採煙方法は「土器式採煙法」が主流でした。油(菜種油など)を入れた器に灯芯を入れて火を灯し、炎の上に上蓋を置き、そこへ煤を付着させて採煙する方法です。煤は粒子が細かいほど上へ上がっていくので、灯芯を紙縒る強さで炎の大きさを調節し、炎を小さくして上蓋までの距離を長くする=細かい粒子、炎が大きくして上蓋までの距離を短くする=荒い粒子と分けて採煙します。(荒いといっても下記の鉱物性油煙や松煙に比べると細かいです)

 以前は二斗四升(約43.2㎏)の油から160匁(約600g)、120匁(約450g)の煤が採れるというように同じ油の量から採れる煤の量で(荒い煤であれば多く採れて、細かい煤だと採れる量が減ります)ランク分けされていて、その煤で作った墨を「160匁焚」「120匁焚」などと呼んでいました。現在はほとんどが「チャネル式採煙法」という機械での採煙になっており、この「チャネル式採煙法」は細かい粒子の煤を採煙するのには向いていません。今後「80匁焚」「100匁焚」と言った粒子の細かい煤は生産するのが難しくなってくるでしょう​。南松園製の墨は当時の煤が残っている限り昔ながらの製法で「160匁焚」「120匁焚」として製造していきます

 鉱物性油煙の採煙方法は、重油などから採れるナフサなどをサイロの中で不完全燃焼させてサイロの内側に煤を付着させます。下のほうに付着した煤は粒子の粗い煤で、上のほうに付着した煤は粒子の細かい煤となり、それらを上の方の煤、下の方の煤、その中間あたりの煤と分けて採煙します。​南松園製の墨は上の方の煤を中級品Ⅰ、下の方の煤を中級品Ⅲ、中間あたりの煤を中級品Ⅱとしております

松 煙

 松煙の採煙方法は「直火焚き法」といって、小屋に四方と天井を障子で囲った中にかまどを置き、そこで松ヤニ材を燃焼させて煤を発生させ、障子に付着した煤を採集する方法です。松材の燃焼温度にムラがあるので粒子が均一ではなくなります。松煙墨(特に古い墨)の同じ銘柄でも墨色がまちまちだったりするのはこれが起因と思われます。

 松煙の粒子は油煙の粒子と比べて大きいので濃墨で使用した場合光沢のないマットな黒になります。淡墨で使用すると赤味のかかった茶墨ですが、経年によって青味かかった墨色に変化が出てきます。同じ銘柄の墨でも製造年が違うと色味が違うこともあるのでご注意ください。

 松煙墨は、主に紀州(和歌山県)で生産されています。かつては生産者数も生産数も多く、一度に大量の煤が取れ値段も安かったことから一番身近な「文房具」として親しまれていました。しかし、近年では墨の需要や材料となる松材の減少などによって採煙量も生産量も減少し、生産者も数えるほどしか残っていない為、貴重なものになってきているようです。​

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